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養育費って時効で請求できなくなるんですか?
結論から言うと、養育費は、時効によって請求できなくなる場合があります。
まず、すでに養育費について具体的な金額の取り決めをした場合と、取り決めをしていない場合で事情が異なりますので、以下、場合を分けて説明します。
1 養育費の金額について取り決めをした場合
養育費は、本質的に定期金債権(一定の期間、定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権)であり、毎月ごとに養育費支払請求権が発生すると考えられます(東京高等裁判所昭和31年6月26日決定参照)。
このため、発生した養育費ごとに5年で消滅時効にかかることになります(民法169条)。
つまり、養育費を月額3万円と取り決めていた場合、平成28年4月7日現在、平成23年3月分の養育費は消滅時効により請求できなくなっている可能性があります。
この点、インターネットの記事などでは、調停や審判、公正証書によって養育費を取り決めた場合には消滅時効が10年になるとの記載が見受けられます。
確かに、民法174条の2第1項で、確定判決によって確定した権利の時効期間は10年となるとされていますが、同第2項は、「前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。」とされています。
したがって、調停や審判、公正証書によって養育費の金額を取り決めたとしても、作成された時以降に発生する養育費は5年で消滅時効にかかることになります。
2 養育費の金額について取り決めをしていない場合
養育費の金額についての取り決めをしていない場合、厳密には消滅時効という問題ではなく、過去の未払の養育費を、どこまでさかのぼって請求できるかという「養育費請求の始期」の問題となります。
この点、審判では権利者(養育費を請求する側)が長く請求をせず債務を累積させて一気に請求することは義務者(養育費を支払う側)に酷であるという点を考慮され、調停または審判の申立て時を始期とするものが多いとされます(東京家庭裁判所昭和54年11月8日審判など)。
ただし、申立て以前に請求した事実の証明があれば請求時から認められると考えられるので、養育費の支払を求める書面やメールを送った時点までさかのぼって請求が認められる可能性もあります。
また、別居時や離婚時、養育費の支払停止時、義務者の就職時等を始期とするものや、認知の事例ではありますが、子の出生時にさかのぼって未払養育費の支払を命じた審判もあります。
したがって、具体的な状況によっては過去の時点にさかのぼって未払の養育費を請求できる可能性がありますが、実際には調停または審判の申立て時からしか請求できないことが考えられます。
養育費などの扶養請求権は、生活に直結する重大な影響を及ぼす可能性があるため、法的に他の債権より優遇される点があります。
養育費を取り決めないまま離婚してしまったり、取り決めた養育費が支払われないなどの問題が発生した場合には、できるだけ早く弁護士にご相談ください。