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では、会社経営を長男にスムーズに引き継ぐためには、どうすればいいのですか

　①あなたの所有する事業用資産、自社株等をあらかじめ長男に売っておく、②生前贈与しておく、③遺言書を書いて長男に相続させる④死因贈与契約を結んでおく⑤種類株式等会社法の制度を利用する等、様々な方法が考えられます。

　しかし、それぞれにメリット、デメリットがあります。

　たとえば、①の方法（売買）によると、あなたの生前中に安定的な引き継ぎをスムーズに実現できますが、一方で、売買代金、譲渡所得税などコストが高くなります。

　②の方法（生前贈与）では、あなたの生前中に引き継ぎを実現できますが、あなたの財産のほとんどが事業用資産と自社株しかないような場合には、将来的に、他の兄弟から遺留分減殺請求（ごく簡単にいうと、他の兄弟に保障される最低限の相続分を取り戻すための請求です）を受けるおそれがありますし、贈与税もかかります（一般的には、相続税よりも高くなります）。

　これらの遺留分減殺請求や贈与税のデメリットを緩和するための法律（中小企業経営承継円滑化法３条～１１条）や制度（相続時精算課税制度）はあるものの、具体的事情によって、限界があります。

　③④の方法（遺言、死因贈与）では、コスト的には相続税だけなので安いのですが、あなたの生前中に引き継ぎを実現することはできませんし、遺留分減殺請求を受けるリスクもあって、必ずしもお勧めできません。

　要するに、具体的な事情により適切な方法が異なってくるのです。

　複雑な法律問題が絡んでくることも多いので、早い段階で弁護士にご相談されるとよいでしょう。